「外資ファンドが日本の企業や不動産を食い物にしている」、
「911テロは軍需産業を利するためにネオコンが引き起こした」、
「日本の政財界はヤクザが牛耳っている」などなど。
こうした陰謀説は物語として読むと面白いですし、ついそんなもんかと思ってしまうかもしれませんが、陰謀説を書く人は結局しっかりとした情報をもっていないようです。というか、よくマスコミに見られるストーリーをつくってから都合の良い部分だけ取材する手法に似ています。現実はそんなにうまくストーリーとしては成り立ちません。逆に現実を忠実に物語化するととても複雑で面白いものになるだと思います。
情報を中途半端といってもかなり集め、頭が良くて創作能力のある人がでっち上げる代物で、一般的な感覚の人は疑ってかかります。しかし、そんな情報ばかりに接しているとなんとなくそんなもんかとも思ってしまいます。特に批判的な傾向の人にはよく効くのでは。日本ではちょっと批判的な人が理知的に見られますので。
最近読んだもので、陰謀説をしっかり否定しているものは、榊原英資さんの著作「為替がわかれば世界がわかる」と中岡望さんのブログの記事「ヘッジファンド入門」です。「ヘッジファンド入門」では、世間のヘッジファンドに関する誤解を示してくれています。
マスコミはいかに衝動的な記事、とくに見出しを作るかということに腐心していますので、わかっていて陰謀説などを面白おかしく書くのはやはり罪つくりだなと思います。それとも読者がそんな気軽なものを求めているのでしょうか。