2006年12月17日

ヒルズ黙示録

今年最初の大事件はライブドア事件だったわけですが、
記憶が遠のくのは早いもので、大分昔の感がします。
ちょうど一年前はホリエモンがテレビに引っ張りだこだったわけです。
細木数子なんかと一緒に。

かんべえさんのHPで「ヒルズ黙示録・最終章」を紹介しており、
衝動買いしたので、その元の本である「ヒルズ黙示録」を
先週風邪で寝込んでいる間に読みました。

粉飾決算という国策捜査で地検の特捜部による調べが入り
ますが、そこでまた関連会社のエイチ・エス証券副社長が
沖縄で変死を遂げて、これがまたマフィアによる他殺とか
いろいろ報道されました。

この本によるとこれは自殺としています。他殺は特捜部にとって
よいニュースだと。その頃は地検が調査するたびに自殺者が
でていたというのがその理由です。どうも怪しげな他殺と
している本もあるようです。

エイチ・エス証券がどこまでライブドアの息がかかった法人か
どうかが焦点だったわけですが、たしか99%ライブドア関連で
残り1%の野口氏が副社長で指揮をとっていました。

ホリエモンも最後はロシアの軍需産業とも接触をもち、宇宙と
芸能活動にうつつを抜かしていた様子。やっぱりあのテレビ
出演回数は以上だったわけです。


フジテレビはこれがまた、ちょっと複雑な事情ををかかえていました。
子会社のフジテレビが巨大化して、親会社のニッポン放送の
影が薄くなる中、フジ及びポニーキャニオンの大株主で傘下に
納める形で、その配当収入で財務を維持するような正に成長した
子供に生活を負っていながら、子供への影響力は強固にもった親の
ように君臨していたわけで、そこを抑えてしまえば優秀な子供たちも
手に入ると踏んでいたのが、ホリエモンでありそのバックにいたのが
村上ファンドの村上氏でした。

ライブドアの敵対的買収の後、よく目にするようになったフジテレビの
日枝会長は、社内でもやり手で創業一族の鹿内宏明氏をクーデターで
追いやりました。ところが、彼がニッポン放送株を8%も保有していた
ことからそれを売却させる算段もしていたらしいのです。
このあたりがシティバンクの強制捜査とも関連がでてきて読んでいると
結構面白いのです。

とにかく今回の事件では、村上世彰氏が黒幕と言えばそうなるのですが、
ライブドアをフジとの抗争で利用はしていますが、その後の展開は
ファンドに有利になるように図っていただけで、ネットと放送の融合は
いわゆる大義名分としての役割のみでした。ホリエモンはというと
ビックなことをやりたいという感じ。キーパーソンは宮内亮治最高財務
責任者です。もともと会社を大きくして上場できたのも彼のなせる業
でした。貧しい家庭に育ち横浜の商業高校をでて、税理士の資格をとる
ため、昼は働き夜勉強する生活を9年続けた強固な意志の持ち主。
そういった苦境を切り抜けてきた経験がビジネスでも十分に生かされました。

フジへの敵対的買収の実行部隊は2000人いた社員のうち、たった2名。
司令官熊谷史人27歳。相談相手塩野誠29歳。
熊谷氏は横浜の大学在学中に学生結婚して子供ができたため、生活費を稼ぐ
ために深夜のアルバイトに追われ起業を断念した経歴をもつ。
若いわりに落ち着きがあると評されたのはこのせいでしょうか。
塩野氏はライブドア幹部にあっては、サラブレット的な経歴の持ち主。
英語堪能、慶大卒業後、投資銀行、コンサルとメインストリートを
歩むもあまりにも正統派の道だったため、若い人が権限を持つことが
できないことから、決定権を発揮できるライブドアへ。

本では、楽天TBS買収、村上ファンドと阪神、ホリエモン選挙出馬と続きます。

最後、捜査の原因となる粉飾決算についても買収会社を株式交換で手に
いれますが、そこに投資事業組合をいれて自社株を買わせて現金買収と
する手口についてもトライアンドエラーから生み出されています。
こういった大胆な手口が可能となった背景は、企業統治の問題にも
行き着きます。若い会社で、書面による手続きもあまり確立されていない
様子です。20〜30代の社員がいけいけどんどんで経営をしていたことも
否めません。結局サステイナブルではありませんでした。
結果論なのですが。私もよく知りませんでしたし。
ただ、ホリエモンは同世代としてそれなりに期待してみていましたので、
残念であるというのは本音です。

先日上京の際に初めて、六本木ヒルズを訪ねました。この本を読む前
でしたから、この本を読むきっかけにもなったかもしれません。
地下鉄に通じる建物の広場に巨大なクモの彫刻があります。
クモは知恵の象徴だそうです。WEBでもあり知恵の発信基地であることを
表しています。

何か騒動の発信基地になってしまった感はありますが、問題提起も
していました。若い世代が活力を出して、挑戦していくというのは
大いに賞賛されることだと思います。ただ、そこで何か世代間抗争の
体をなさずにそれこそ、若者の行動力、活力、斬新さと壮年層の
経験、決断力などを融合していけるとよりよい企業統治ができるのでは
ないかと考えます。
posted by 金時 at 08:26| マーケティング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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